こんにちは。寒竹歯科医院です。
ドラッグストアの歯磨き剤コーナーで「歯肉炎」「歯周炎」「歯周病」「歯槽膿漏」などの文字を見かけることはありませんか?
これらはすべて「歯茎の病気」に関連していますが、その違いを理解している人は少ないかもしれません。
今回は、これらの違いについてお話しします。
歯周病とは?
「歯周病」とは、歯を支える「歯周組織」に炎症が起こる病気の総称です。炎症が歯茎だけにある状態を「歯肉炎」、炎症が歯を支える骨(歯槽骨)まで進行した状態を「歯周炎」といいます。症状が進行すると歯槽骨が溶け、最終的には歯が抜け落ちることもあります。「歯槽膿漏」は「歯茎から膿が出る」という、歯周病の中の一つの症状です。
健康な歯茎
健康な歯茎は、歯と歯の間に弾力のある薄いピンク色の歯茎が三角形に引き締まっています。
ブラッシングをしても出血しません。健康な状態の歯と歯茎のすき間(歯周ポケット)は1~2㎜です。
歯肉炎
歯肉炎になると、歯と歯の間の歯茎が丸みを帯び、膨らみます。また、赤色になりブラッシングをすると出血します。
歯茎に炎症が起き、2~3㎜の歯周ポケットができます。しかし、この段階では痛みがほとんどなく、症状に気付かないことが多いです。歯肉炎は、丁寧な歯磨きで治ることもあります。
歯周炎
歯周炎になると、歯茎の色が赤紫色に変わります。歯と接している歯茎がさらに腫れて、ブラッシングで出血します。
歯と歯のすき間が広がり、食べ物が詰まりやすくなり、歯茎が退縮して歯が長く見えることがあります。歯周ポケットは3~5㎜(軽症)、4~7㎜(中度)、6㎜以上(重度)と深くなっていきます。
歯槽膿漏(重度歯周炎)
「歯槽膿漏」という言葉は、明治時代に海外で歯茎の病気を「歯茎から膿が出る」と表現していたことから和訳されて使われるようになりました。しかし、現在では歯茎の病気全体を「歯槽膿漏」と呼ぶのは適切でないとされ、「歯周病」と呼ぶことが主流です。歯槽膿漏は、歯を支える部分「歯槽=歯茎」から膿が出るという意味で、重度の歯周炎の症状です。
歯周病は治療も予防も可能
歯周病は進行しても痛みや見た目に大きな変化がほとんどないため、多くの人が自覚しないまま進行してしまいます。しかし、現在では歯周病の予防や治療が可能です。定期的に歯科医院に通い、「予防」「診断」「治療」「メンテナンス」をしっかり行うことで、歯周病を防ぐことができます。
まとめ
「歯肉炎」「歯周炎」「歯周病」「歯槽膿漏」などの言葉が示すように、歯茎の病気にはさまざまな段階があります。
これらの違いを理解し、早期に対処することが健康な歯と歯茎の維持には大切です。定期的な歯科検診と適切なケアを通じて、歯周病の進行を防ぎましょう。