高齢者 むせ

こんにちは。寒竹歯科医院です。

食べ物やお茶、みそ汁などを飲み込むときに、「むせ」たり「せき込む」といった経験はありませんか?
食べ物や飲み物を飲み込む一連の動作を「嚥下(えんげ)」といい、加齢や疾患などで飲み込む力が弱くなると、嚥下障害が生じることがあります。

「むせ」自体が病気ということではありませんが、食事をとりにくくなったり、脱水や低栄養、また命に関わる誤嚥性肺炎や窒息も引き起こしやすくなるため注意が必要です。
原因や予防法を知り、年を重ねても楽しく安全に食事をしましょう。

「むせ」の原因はからだの防御反応!

食道と喉頭(こうとう)・気管は隣接しており、通常は食道に送られる食べ物や飲み物が誤って気管に入らないよう、喉頭のフタである喉頭蓋(こうとうがい)が閉まるようになっています。食べ物を飲み込む瞬間に喉頭が上に動いて食道の入り口を広げ、食べ物を通過しやすくする「嚥下反射(えんげはんしゃ)」が起きます。

嚥下がうまくできず、誤って気道内に吸い込んでしまうことを「誤嚥(ごえん)」といい、「むせ」や「せき込み」は、生体防御の反射です。誤嚥の原因としては、だ液の減少や噛む力の低下、反射神経や筋力の衰えなどの「加齢による身体の変化」、脳卒中や神経疾患、認知症、薬の副作用などの「疾患や処方薬の影響」が考えられます。

食生活でも「むせ」予防を意識

水分の多い果物や、みそ汁のように具と汁が混ざったものは一般的にむせやすいとされているので注意が必要です。一度で飲み込める量をゆっくりと食べることで、むせの予防になります。また、むせている最中に水を飲むことは危険です。呼吸が切迫しているため飲み込むタイミングがずれ、さらに誤嚥する可能性があります。
むせが治まって呼吸が落ち着くまで水を飲むのは控えましょう。
水分の多いもの、具材と汁が混ざっているものにはとろみをつけるなどの工夫で誤嚥を防ぐこともできます。

予防にはトレーニングと口腔ケア

「むせやすくなった」と悩んでいるなら、食生活に気を付けるほか、喉周辺の筋力を鍛えるトレーニングや口腔のケアがオススメです。誤嚥性肺炎や窒息の予防はもちろん、健康維持も期待できます。

トレーニングは、身体を動かすストレッチや「パタカラ体操」というお口の体操、舌を動かすトレーニングなどさまざまです。気になる方は私たち歯科衛生士にお聞きください。また、人との会話や歌を歌うなどの「発声」も効果的です。呼吸とリズムで喉の筋肉が鍛えられ、だ液も分泌されるので口腔内もきれいになります。

定期健診で口腔内を健康に

口腔内の健康を保つことが「むせ」の予防には大切です。歯が抜けたままにしている方は、噛む力が低下し、嚥下が困難になる場合があります。また入れ歯を利用している方は、入れ歯の手入れを怠ると細菌が広がり誤嚥性肺炎の可能性が高くなります。
定期的にご来院いただき、一緒に口腔内の健康維持に取り組みましょう。