皆さまは、食事をするとき、どのくらいよく噛んで食べていますか?
よく噛むことは単に食を楽しむためではなく、全身の働きを向上させ、健康な体を維持するのに重要な役割を果たしています。しかし最近は、硬いものをうまく噛めない人が増えています。
今回はよく噛んで食べることの大切さについてお話しします。
幼少期の噛む習慣が与える影響
幼少期に柔らかい食べ物ばかり食べていると、顎の骨の発達が遅れやすくなります。
その結果、歯の成長とのバランスが崩れ、歯並びが悪くなることがあります。また、硬いものを避けることで、顎の関節や噛むための筋肉の機能も低下していきます。
「噛まない習慣」は子どもだけの問題ではない
「よく噛まない」という習慣は、子どもだけの問題ではありません。
忙しさからゼリー飲料で手軽にエネルギーを補給したり、食事時間短縮のために急いで食べたりする現代人は昔に比べると、噛む回数が明らかに減っているといわれています。
「ひみこの歯がいーぜ」
学校食事研究会では、「噛む」ことの効用をあらわした「ひみこの歯がいーぜ」という食育の標語を作り、よく噛むことを推奨しています。
ひ:肥満予防
早食いは肥満のもとです。よく噛んでゆっくり食べると、緩やかに血糖値が上がります。これにより、脳の満腹中枢が働き満腹を感じるため、食べすぎを防ぐことができます。よく噛むことで自然と食べる速度がゆっくりになります。
み :味覚の発達を促す
よく噛むと、食べ物の本来の味をよく味わうことができます。
こ:言葉の発音がはっきり
噛むという動作によって、上下の顎の骨や噛むための顔の筋肉が鍛えられます。顎の発達は歯並びにも良い影響を与え、正しい口の開きや正しい発音ができるようになります。
の:脳の発達を促す
よく噛むことで脳への血流が増し、脳の働きが活性化され、記憶力や集中力アップにつながります。
歯:歯の病気を防ぐ
唾液が多く分泌されることにより、むし歯や歯周病予防になります。
また、顎の発達に伴い、きれいな歯並びになれば、日々の歯磨きも楽になります。
が:がん予防
唾液に含まれる酵素には、発がん物質を分解する働きがあります。一口を30回以上噛むのが効果的といわれています。
い:胃腸快調
よく噛むと、唾液に含まれる消化酵素が多く出ることにより、消化や吸収を助け、胃への負担を軽くします。
ぜ :全力投球で体力向上
よく噛むことで顎が発達し、歯並びもよくなります。歯並びが良いと噛み合わせがよくなり、しっかり歯を噛みしめられることで力を発揮しやすくなります。
噛む習慣の見直しをしよう!
毎日の食事の中で、「しっかり噛む」ことを意識するだけで、全身に良い影響を与えます。
よく噛んで食べることは、すぐにでも取り組める健康習慣です。今日の食事から、一口30回を目安に取り組んでみましょう。
当院では、いつまでも自分の歯でおいしい食事をしていただくために、歯の定期検診など、お口の健康をサポートしています。気になることがありましたら、お気軽にお声掛けください。