皆さまは、毎日の口腔ケアがウイルス感染を防ぐ効果があることをご存じでしょうか?
今回は感染予防に効果的な「口腔ケア」についてお話しします。
なぜ感染してしまうのか
私たちの身体には、ウイルスや細菌などの病原体が侵入するのを防ぐため、のどや鼻の粘膜が適度に湿っており、異物の侵入を防ぐバリアの役割を果たしています。
しかし、冬場などの寒くて乾燥した時期には、この粘膜が乾燥して傷付きやすくなり、ウイルスが体内に入りやすくなってしまいます。
さらに、口腔内の細菌が作り出す「プロテアーゼ」というたんぱく質を分解する酵素が粘膜を破壊することで、ウイルスが侵入しやすくなる可能性があります。口腔内が不潔な状態だと細菌が増殖し、それに伴ってプロテアーゼの量も増え、結果として感染症にかかりやすくなってしまいます。
口腔ケアが感染症予防につながる理由
口腔内の環境を清潔に保つことは、むし歯や歯周病を防ぐだけでなく、全身の健康を守るためにも重要です。具体的には以下のようなメリットがあります。
細菌の繁殖を抑える
歯垢や歯石、舌苔(ぜったい)がたまると細菌が繁殖しやすくなります。これらを適切に除去することで、プロテアーゼの増加を防ぎ、ウイルス感染のリスクを下げることができます。
粘膜を健康に保つ
乾燥した状態が続くと粘膜がダメージを受けやすくなりますが、口腔ケアをしっかり行い、清潔な状態を維持することで、唾液の分泌を促したり、粘膜の健康を守ることができます。
免疫力の低下を防ぐ
口腔内の細菌が増えると、炎症が起こりやすくなり、免疫力が低下する可能性があります。適切な口腔ケアを続けることで、免疫力を維持し、病気になりにくい身体を作ることができます。
口腔ケアのポイント
感染症予防のためには、毎日の口腔ケアを見直し、適切な方法で行うことが大切です。
- 歯磨きを丁寧に行う
毎食後、特に就寝前にはしっかりと歯を磨きましょう。歯と歯の間や歯茎の境目は汚れが残りやすいため、デンタルフロスや歯間ブラシも活用すると効果的です。 - 舌のケアも忘れずに
舌の表面には細菌が付着しやすいため、専用の舌ブラシなどを使って優しく汚れを落としましょう。 - うがいを習慣化する
うがいをすることで、口腔内の細菌を減らし、ウイルスが付着しにくい環境を作ることができます。抗菌作用のあるうがい薬を使用するのもおすすめです。
定期的に歯科医院でクリーニングを受けましょう
自宅でのケアだけでは落としきれない汚れもあるため、歯科医院での専門的なクリーニングを受けることが大切です。特に、歯石はセルフケアでは除去できないため、定期的なチェックを心掛けましょう。
まとめ
当院では、歯のクリーニングや口腔ケア指導を行なっています。専門的なケアを受けることで、感染症予防だけでなく、全身の健康維持にもつながります。気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。